海外の森と緑1 ー化石の森『キュリオ・ベイ』(ニュージーランド)ー

(チーム以森伝心 飛川祐人さん)

当協会は国際モデルフォレストネットワークに加盟する日本で唯一の団体で、今後、海外との情報交換や連携を進めていきたいと考えています。随時、海外のモデルフォレスト運動の情報や、海外の森や緑の情報をホームページ等でお知らせさせていただく予定です。
今回は、情報誌「以森伝心」作成ボランティアの飛川祐人さんがニュージーランドの森についてのリポートを送ってくださいましたので、掲載します。
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 ニュージーランドといえば大都市のほとんどが海岸線に位置し、郊外へ一歩足を踏み出せば山と森に囲まれる国なのですが、そんなこの国に1億8000万年前の森が存在しているのはご存知でしょうか?

 1億8000万年前といえば、まだ恐竜が地球上を闊歩していた時代。

 その当時の森というと、背の高い巨木が所狭しと立ち並んでいる様子などを想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、恐竜が現代では化石としてしかお目にかかれないように、ニュージーランドで見られる1億8000万年前の森もまた“化石”なのです。

 この“化石の森”が見られるのは、ニュージーランド南島の南端に位置するインバーカーギルという都市から車で南西へ一時間半ほどのところに位置する“キュリオ・ベイ”という海岸。

 人間の手がほとんど入っていないだけでなく、化石の森としては世界でも最大クラスのものとなり、キュリオ・ベイから南西の方角へさらに20キロメートルほどの範囲にわたって広がっています。

 1億8000万年前、ニュージーランドはゴンドワナと呼ばれる古代大陸の一部でしたが、現在のニュージーランドとなっている陸地の大部分が海面下にあった一方、キュリオ・ベイは背の低い木々やシダ植物に覆われた森として存在していました。

 ですが、火山灰などの土砂による森の破壊が繰り返され、火山灰に埋もれた木々やシダ植物は、長い年月をかけてその姿を”石”へと変えることとなりました。

 現在のニュージーランドとなる地域は約1億年前にゴンドワナ大陸から分離し、過去1万年の間に現在の海岸線が形成されました。その間に森を覆い隠していた砂や泥などが海水によって洗い流された結果、埋もれていた木の化石が姿を現し、現在のような化石の森となったようです。

 キュリオ・ベイでは、引き潮の際に実際に足を踏み入れ、自分の手で現存する木の化石に触れることも可能なのですが、木の化石の一部を記念として持ち帰る観光客の存在などが近年になって問題視されています。

 人の手をどこまで加えるべきか、というのは歴史的な景観の保護に常に付いて回る問題ですが、1億8000万年前の森を後世へ残すためにも、今後のニュージーランド政府の対応に注目が集まります。

海岸写真1
©Joka2000

海岸写真2
©Rosino

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