海外の森と緑2  エコツーリズムの可能性:ロトルア、ジップライン・キャノピー・ツアー

(チーム以森伝心 飛川祐人さん)

当協会は国際モデルフォレストネットワークに加盟する日本で唯一の団体で、海外との情報交換や連携を進めています。随時、海外のモデルフォレスト運動の情報や、海外の森や緑の情報をホームページ等でお知らせしています。
今回は、情報誌「以森伝心」作成ボランティアの飛川祐人さんがニュージーランドのエコツーリズムについてのリポートを送ってくださいましたので、掲載します。
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 ニュージーランド北島、この国最大の都市であるオークランドから車で約三時間ほどの距離に位置する都市、ロトルア。
 ニュージーランドの先住民族であるマオリの文化が色濃く残っているため、その側面を都市PRの前面に押し出しているのですが、その一方で自然資源を観光資源として活用した“エコツーリズム”に力を入れていることでも知られています。

 その一例として挙げられるのが、ニュージーランド国内では珍しい自然温泉や間欠泉(一定周期で水蒸気や熱湯を噴出する温泉)を中心に据えたツアーの数々。ですが、実はそれらを差し置いて、巨木の生い茂る原生林を活用したツアーがニュージーランド北島で一、二の人気を誇るアウトドア観光アトラクションとなっているのです。

 “ジップライン・キャノピー・ツアー”と呼ばれるこのツアーは、ママクという地域にある原生林に張り巡らされたワイヤーロープを滑車を使って滑っていくというもの。随所にガイド二名による原生林の歴史や生態系、保護プランについてなどの解説も加わるため、全行程は三時間にも及びます。

 数世紀前から存在する森にそびえ立つ巨木の間を飛ぶように移動できることが観光客への強いアピールとなっており、旅行者の拠点となるロトルアから十数分程度しか離れていないことや夜間も同様のツアーが行われていること、一回のツアーの最大人数が十人と少人数に設定されている点も魅力的なようで、最低でも大人139ドル(夜間は159ドル、それぞれ日本円約一万一千円と一万二千円)と決して安くはないツアー代金にも関わらず、ジップライン・キャノピー・ツアーは大手観光ウェブサイトであるトリップアドバイザーの人気アトラクションランキングで北島全523の屋外アクティビティ中で堂々一位の評価を受けています。

 2020年にオリンピックの開催を控える日本では近年、大阪府にカジノを新設する案など、国内はもちろんのこと、国外からも観光客を誘致する手段が活発に議論されています(ちなみに、ニュージーランドにもカジノは存在しています)。

 ですが、コストや土地の有効活用、先進国間で共有されつつある環境保護への取り組みへの意識の高まりなどを考慮すると、ジップライン・キャノピー・ツアーのようなエコツーリズムは地域活性化に留まらず、近い将来、国単位で力を注ぐに値する観光業の柱となるのではないかとも考えさせられます。

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