国土緑化推進機構「緑と水の森林ファンド公募事業」
持続可能な森林管理をめざし、地域の多様な主体が話し合い、協働して取り組む「モデルフォレスト」。1992年の地球サミットでカナダ政府により提唱されたこの枠組みは、現在世界60を超える地域に広がっています。令和7年9月19日、国際モデルフォレストネットワークのアジア地域事務局を務めるRECOFTC(アジア太平洋地域コミュニティー林業訓練センター)メンバーの来訪を機に、公開セミナーを開催しました。本セミナーでは、アジア地域におけるモデルフォレストの取り組みや森林管理の現状、地域間連携を通じて生まれる学びについて紹介し、理解を深めました。
当日は、会場およびオンラインのおよそ30名の方にご参加をいただきました。
公開セミナー
開会にあたり、京都府立大学環境科学部森林科学科の神代 圭輔先生から挨拶をいただきました。先生からは、2004年当時、京都でのモデルフォレスト設立の議論に大学院生として立ち会った経緯などを交えながらこれまでの歩みを振り返ってご紹介いただきました。
続いて、「モデルフォレストとは?-国際モデルフォレストネットワーク及びアジアのモデルフォレストについて」と題し、アジア太平洋地域コミュニティー林業訓練センター(RECOFTC)/アジア地域モデルフォレストネットワーク事務局 地域プロジェクトマネージャー ジュリアン・アトキンソン氏よりご講演をいただきました。講演では、多様なステークホルダーが参画し、地域の森林の持続可能なあり方を話し合い、実践する国際的なモデルフォレストの取り組みや、アジア各地域のモデルフォレストの活動事例についてご報告いただきました。
次に、協会事務局 田中より、京都におけるモデルフォレスト運動の展開の経緯と、今年2月のフィリピンでの年次会議及び5月のカナダでのグローバルフォーラムでの報告を行いました。
最期に、京都府立大学大学院生命環境科学研究科の中谷 允則 さんから、京都府立大学とインドネシアムラワルマン大学との学生交流事業についてご報告いただきました。報告では、インドネシアと日本の学生が森林を通じて学び、視野を広げている様子が紹介されました。
質疑応答では、会場からも熱心なご質問が寄せられ、関心の高さが伺えました。
エクスカーション
セミナー後には、京都北山杉の里総合センターを訪問しました。前半では、京都北山丸太生産協同組合の松本理事より、北山杉の歴史や特徴、現在の取り組みについて説明を受けました。その後、杉坂に移動し、持続可能な林業として国内外から注目を集める北山台杉の展示林を見学しました。RECOFTCのメンバーからは、作業の工夫や新たな販路開拓などについて熱心な質問が寄せられました。
今回のセミナーを通じて、国際的な知見を持つRECOFTCからのアジア地域の最新情報や、京都モデルフォレスト運動の多様な展開、そして次世代を担う学生たちによる国際交流の成果を共有し、持続可能な森林管理への理解を深めることができました。今後も、国際ネットワークを通じて学びを深めながら、地域に根ざした森林管理のあり方を考え、広く発信してまいります。
この事業は、国土緑化推進機構「緑と水の森林ファンド公募事業」の助成を受け実施しました。
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